術前のビタミンD濃度が低いと、外科手術後の感染症が起きやすいという、極めて興味深い研究報告です。
対照は消化器外科手術患者770名。2007.01.01〜2011.12.31までの期間について調べています。その結果、ビタミンD濃度を示す25(OH)D3の血中濃度が、30 ng/ml 未満の症例では、術後の院内感染を起こす確率が、血中濃度の高い群と比較して3倍も高いことがわかりました。
すなわち、ビタミンD濃度がある一定値を下回っていると、院内感染を起こしやすくなるということです。同様の傾向は、術後の創部感染についてもみられています。
この研究はコホート研究といって、過去のカルテにあるデータと起きた現象を比較したものであり、いわば状況証拠のようなものです。術前にビタミンD濃度を上げておくと実際に術後感染症を予防できるか否かについては、二重盲検法による臨床試験を行わないと結論を出すことはできません。
しかし、状況証拠を見る限りにおいては、ビタミンDを30 ng/ml以上に上げておいた方が、感染予防という点ではメリットがありそうです。
Association Between Preoperative 25-Hydroxyvitamin D Level and Hospital-Acquired Infections Following Roux-en-Y Gastric Bypass Surgery.
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